可能なかぎり最高の成果にフォーカスし、結果を増幅させる。
サービスを大きく成長させるために導入し、当初は試行錯誤しました。そして実践的な OKRのフレームワークに仕上げました。今後も改善しながら洗練させます。
思想
ゴールは、ダイナミックで具体的で、チームメンバーを毎日鼓舞するものでなければなりません。
設計
O(目標、Objective)を定性的なものをひとつだけ、その目標を測定する定量的なKR(主な結果、Key Results)を3つだけ設定し、チームや個人を大胆なゴールに集中させます。
Oは一定期間(たいていは四半期)のゴールを定めます。KRは、期間の終わりにOを達成できたかどうかを判定するのに使います。
*Oはミッション・ステートメントに似ていますが、期間が短い点も異なります。
実行
ゴールを設定したら、ゴールに向き合いチームとして実行していきます。皆さんもご存知のとおり、実際はこれが簡単にそう言葉通りにうまく運ぶものではありません。
そのためにもミーティングはチームの大切な機会です。毎週の方向性を決めるフレームワークとしても、OKRの実行には優れたミーティングが欠かせません。
私は試行錯誤の結果、以下のフレームワークでOKRを進めるようになりました。遂行するために大切なことは、OKRの実行を習慣化するという視点でした。
四半期の視点で、毎週議論し、毎日実行する
そして、OKRの実行を習慣に!
CHECK IN MEETING
月曜日
チェックイン・ミーティング
OKRで一週間をはじめましょう。自信度の変化、健全性、優先順について必ず話し合いましょう。今の優先順位で、本当にKRが達成できるか。ロードマップにある今後のプロジェクトに調整は必要か。チームの健全性の現状はどのようになっているか。
OKR自信度
自信度は、OKRを達成できると思われる確率のようなものです。これを10段階で測りましょう。OKRは自信度5(野心的な設計)から四半期がはじまります。そこから自信度が上がったか下がったか。大切なのはその理由(数値の進捗、先週のタスク)の議論です。その話し合いが今週の優先事項や今後のプロジェクトにつながっていきます。
*補足:自信度はOKRに向けて毎月設定するマイルストン( ≒ 目標)に対するものにしても良いかもしれないと実践経験則的には感じてもいます。
今週の優先事項
OKRに向けてやるべき特に重要な仕事を挙げましょう(最大5件)。この優先順位によってOKRが達成できるかもきちんと確認もこめて話し合いましょう。
今後4週間のプロジェクト
チームに知らせるべき今後の予定です。常に4週間の目線でプロジェクトを確認・修正・追加・変更・削除をすることで、メンバーがそれらの予定に貢献し準備ができます。
健全性
すばらしい結果を目指して歩む一方で、今、チームが守りたいことを2つ考えましょう。
失ってはいけないものはなんでしょうか。顧客との関係?コードの安定性?チームの健康・健全性?悪化してきたときに把握して、話し合いましょう。
WIN SESSION
金曜日
ウィン・セッション
各チームが見せられるものをなんでも見せ合います。エンジニアは作業中のコードを、デザイナーはモックやマップを見せます。メディアプロデューサーは集客などの成果を、マーチャンダイザーは売れ筋の商品を、カスタマーサポートはお客様の声を。どんなに近くにいても、それぞれの仕事の内容や日々の成果は案外と知らないものです。
チームが高みを目指せば、失敗も増えます。高い目標を掲げても、ゴールにどれだけ近づいたかわからないままでは、最終的にゴールに届いても届かなくても、憂鬱な時間を生んでしまいます。そのため金曜日のウィン・セッションが極めて重要になります。
ウィン・セッションは驚くほどの変化を生みます。各チームが他のチームの仕事を理解し、互いに敬意を抱くようになります。毎週金曜の「成果を祝う行事」は、あらゆるチームが経験する試行錯誤を繰り返す過酷で厳しい歩みを支えてくれます。リーダーは活発な雰囲気を保つように積極的に明るく元気に楽しくウィン・セッションを盛り上げましょう。
アルコールやピザは入れる?
私は月初のウィン・セッションは、アルコールとお菓子をコンビニで購入し、みんなで「今月もOKRに向けて頑張ろう!」と乾杯することからはじめています。毎回よりも月初だけという運用が良いメリハリになると思います。
APPENDIX
ゴールは、昔のように管理部門が決めるものではなく、ダイナミックで具体的な形があり、従業員を毎日鼓舞するものでなければなりません。「パフォーマンスを評価するしくみ」から「人を鼓舞し、能力を高めるしくみ」に切り替えましょう。
従来型のアプローチでは、ゴールを達成したかどうかが評価に結びつくので、従業員が低く見積もるようになります。それに対しOKRは、可能なかぎり最高の成果にフォーカスするので、結果が増幅されます。OKRを使って可能性を最大化するためにも、OKRを人事評価から切り離しましょう。それでは評価はどうするのか?その答えはまたあらためてブログにて。